藤本芽子(collage・paint) 右近こうじ(trimming・finishing)
藤本芽子×右近こうじ

藤本 右近さんの雨男ぶり、実感しました。2人展の初日が台風で延期になりました。
右近 おかげさまで。
藤本 今年、何度か会いましたけど、途端に雨って多かったような。
右近 日頃の行いがねぇ、、、。
藤本 そして「幕の内」(※1)試作1号、2号制作ありがとうございました。
右近 作ってて楽しかったですよ。でも、あれきちんと作品にしましょうね。作ってて、感覚が昔、、、。
藤本 小学校の夏休みの宿題で、箱で作った水槽に、紙で作った魚つるすの、。
右近 そうそう!それ、今言おうとしたんですよ。
藤本 いろんな魚描いて。切って、糸で吊るして。で水色のフィルム貼って。
右近 糸はつまようじで止めて。あれ、むちゃくちゃ楽しかった。
藤本 わたしも!お姉ちゃんが夏休み最後に、お母さんに怒られながら作ってました。 手伝ってた私はとても楽しかったけど。
右近 僕はそれに(紙の水槽に)一ヶ月半の全ての時間を注いで怒られた。ま、小学校だから一芸に秀でてても だめなんですよね。
あそこは、みんなと一緒に、程々ってトコだから。僕は義務教育の9年間は一芸で、お絵書き一本 それでとおしたけど。
で、家庭訪問でも無いのに、担任じゃなくて学年主任が来たりして、、、。 家にね。なあんも自慢にはなりませんけど。で、挙げ句、こうなった、、、。
藤本 そのころから画家とか目指してたんですか?。
右近 いや、全然。その画家とかってのは今も無いし、ただ、絵っていうか、落書きが好きだったし、 他の事が出来なかった。
勉強、運動だめだし。体弱いし頭悪いし。 藤本さんは?。
藤本 ブルーナさんの絵本を子供のとき見たのがきっかけかなあ。仕事で描くって意識した事ないんですよ。
今も。 だから、わたしも一緒ですよ。好きだから作ってるって感じです。
ただ、アルバイトしてる時、雑貨屋なんですけど、 売れなかった商品の値札にイラストを描いた途端に売れたりして。
絵とかイラストって不思議な魅力とか力とかあるんだなあとおもいましたけど。
右近 商業的にイラスト書いてたりしてると、そのあたりのツボって分かってくるんですけど、
それでも、 そのツボと全然違うトコで反応があったりすると、それが描くってことかなあと思う。
僕は、僕にとってはイラストは挿し絵だから描くより、書くって感覚のほうが近いんですよ。
どっちが良い悪いの話しじゃ無く。
今、あえて描いてるっていいますけど、描いてるパステル画にしても、やっぱり お客さんに分かりやすい構図とかモチーフとか色とかつかってて、
だから、個展で例えば20点出品するとして、 八割は書いてる作品ですもん。
だから、書く事が嫌かって訳じゃ無くて。 僕の中では見えるとか、理解しやすい絵が書く、感じてもらえるのが描くって、そんな感じです。
そんなに意識してはないですけど。
「幕の内」(※1)藤本さんのコラージュ作品を僕が箱の形や、小さな本に加工して、 藤本さんオリジナルの缶バッジと一緒にガラスケースにレイアウトしたもの。



藤本  わたし、ずうっと図画工作の延長かなあ。食事をするみたいに、お風呂はいったり、顔洗ったりみたいに
日常生活の中の一部に何かを作るというのが入ってます。
右近 それ、一番大事ですよ、ホントに。何かを作る仕事として大切でしょう。
僕もそうしてますよ。 でも、気をつけないと休みらしい休みが無い事に気付く。ある日。あれ、3年間休んで無いぞって。
旅行とかしないし、お酒やめたりして、1日作業してると切り替えが出来なくて。
藤本  でも、生活の一部だから絵を描くのが苦痛にはならないでしょう。
右近 うん、それは大丈夫。ただほら、趣味じゃ無いから、仕事だとなるとあれやこれやと。
藤本 あれやこれやと?。
右近 理論武装が必要になる時あるでしょう。絵の意味ってか。背景みたいなもんが。
藤本 理論武装!
右近 うん、イラスト書いてた時とか、かなり。でも、僕、理論なんて分からないんで、、、。只、武装。
藤本 うりゃ~って。
右近 インクも多めに使ったぞ!スクリーントーンも多めに貼ったぞ!0.5ミリのロットリングだぞ 0.3じゃないぞって!。
〆切り迫ってるとね、もう、画力より圧力。ホントですよ。

右近 今年藤本さんの搬入出見させてもらって、で、現場(ギャラリー)で完成させるでしょ?
藤本 うう、、、。
右近 いや、悪い意味で無くて。全然それは。現場でやら無いといけない事をやってるわけですから。
僕は感心しました。なんか、偉そうな事言ってます?。
藤本 大丈夫ですよ。
右近 僕の場合だと(ギャラリーの大きさにもよるけど)1時間くらいで終わるんですよ。
只、ギャラリーの搬入時間の制限とか、そういう問題もあってなんですけど。
藤本 わたし5~6時間じゃたりません、、、。
右近 やっぱり搬入って一番大事だと思うんですね。お客さんに見てもらう状態にする訳で、で、一番大事な 作業なのだけども、
その、ギャラリーの搬入時間の問題とかあって、そこで悩んじゃうと収集つかなくて、
結局ものすごく中途半端な展示で個展を始めないといけなくて。
そんな(納得してない)場所に一週間在廊するのは地獄でしょ。今までに経験してますから。 期間中気分が悪いですから。

藤本 右近さん搬入はいつも1人ですか?
右近 搬入に限らずいつも1人ですけども。オーナーさんが手伝ってもらえる場所もあるけど、基本は1人で。 藤本さんは?
藤本 オーナーさんに手伝ってもらいます!
右近 でも、ダメな場所もあるでしょ?手伝って貰えないトコ。
藤本 ?。いつも。半分くらいは、もっとかも。どこでも展示のお手伝いして頂いてます。
今年(2005)the 14thMOONは喫茶の方は、ほとんど、ん?全部してもらいました。

右近 そう!あの展示は僕はとても良かったです。
今まで何度か14thMOONさんでいろんな作品拝見させて 頂きましたけど、藤本さんの展示ってポストになってて、
そのポストに小さな作品が描いてて。 そいでもって、ポストってモチーフって事はその向こう、壁の裏まで想像させる訳ですよね。
僕はこの作家さんはギャラリーのサイズ(空間)を計算してこの作品を製作したのか、 それとも、天性の感覚ってのかなあ、
どちらにしてもすげーなーって思った。 あの時は藤本さんとは、挨拶程度の会話しかかわした事無かったから。
藤本 計算なんてして無いですよ。
右近 じゃあ、天才なんですよ。本気で言ってますから、僕は。

右近 話し戻すと、搬入作業ってひとつひとつの作品の完成とは違って、展覧会ってパッケージの完成ですよね。
藤本 うん、下見に行っても搬入当日、作品を展示しているとその場で新しい発想がどんどん出てくるんです。
右近 それ、作品に関してもでしょ。
藤本 そうそう!
右近 アートレ、神戸のジュース屋さんsaitaさん、茨木ギャラリーラ・ガルリで、搬入とか搬出手伝わせてもらって。
14thMOONの時とは違う距離で藤本さんの作品に接したんですよ。で、分かったんですけど。
藤本 何が分かったんです?
右近 えっとですね、さっき藤本さん言ってたみたいに、作品の制作も搬入も、僕が行ってるソレとは全然違ってて。
どんどんアイデアが出てくる方だと、制作時、搬入時限らず、、、。だから、搬入の時もアイデアが出て来て
で、制作しながら搬入しながらで、ギャラリーとも作品が同化していく、、、。
藤本 saitaさんのときは危うく、、、。
右近 同化しすぎて壁破壊しかけましたもの(saitaさん搬出時の模様はママさんブログ参照してくだい。)
藤本 右近さんてどうしてるのですか、制作と搬入は。
右近 事前にギャラリーの図面もらって、で、僕の場合は額をまず統一して、サイズも精々三つくらいだし、 モチーフも決まってるし、
色見もそろえるようにしてて、で、何を何処に置くかは決めてて、 現場に言ったら箱から出して掛けるだけ。A型でしょう。
藤本 わたしもA型ですけども、、、。わたし、5~6時間の現場制作ですもの、それだけ準備してるってすごい。
右近 すごくないですよ。全然。こんな言い方したら誤解されるけど、搬入に関してだけですけど、
機械的に作業してる 訳で。思い通りに行くのは、なんか良い様だけど、そうとは言い切れないし。もう少しこの話続けていいですか?
藤本 どうぞ。

右近 9月に一ヶ月間茨木のギャラリ-ラ・ガルリで展覧会した訳です。 最初2週間藤本さんと2人展「mano en mano」
後半2週間は焼きもの作家の川口さんと、、、。
藤本 静ちゃん。
右近 そこらへんすごいですよね、初めてあって5分で静ちゃんって呼べますものね。
藤本 5分は大袈裟でしょう。
右近 僕はもう七年くらいになりますけど、川口さんですよ。
藤本 このまえ百貨店でね、初日藤本先生失礼しましたって言ってた、若いお姉さんが最終日には コピー代とかいいよお、そんなんて。言ってました。
右近 それは多少問題アリですけどね。だけど、絵の業界って極端に作家の立場が弱いか強いかでしょう。
もしかしたら、そのエピソードって新しい、最初の一歩かも。革命的な気がして来たぞ、なんか。
藤本 静ちゃんとの展覧会はギャラリー全体が穏やかな街という感じでとても良かったです。
右近 うん、僕もとても満足してます。あの時の展示は。で、さっき言いかけたのはですね、
川口さんとの展示もある程度は展示の下書きは出来てて、最初それにそって進めたんですよ。
それで、2時間くらいでだいたい出来て、そこで河上さん(ギャラリー ラ・がルリオーナー) と川口さんと僕とで、もっとシンプルにした方がいいかもとなって。
そこから、どんどん作品下げていって。 深夜までかかったけど、とても良くなった。
時間がかかればイイって事でも無いし、時間かければ いい展示ができる訳でも無いけど、
それでも最近個人的には搬入がマンネリ化してたから とてもいい刺激になったんです。

右近 この前アクリル画トリミングさせてもらったでしょう。(※2)
藤本 はい。 右近 藤本さんと話をしてる時に、まあ、その百貨店とか企画展とかそういう場合、サイズの希望があるという事で。
藤本 描けなくは無いんですけどね、どうしても、納めていく作業になっていくので、 イメージが広がっていかないというのか、、、。
右近 子供の絵って僕はとても好きなんですよ。絵が好きな子供って、嫌々描いて無いから、あたりまえか、、、。
それこそB5の紙を与えられても机の上まで描いちゃうでしょう。 最終的には机の部分は見れないけど、こっちにはその情熱は届くでしょう。
藤本 なるほど、わかる。
右近 ほとんどの子供が小学校の高学年にもなれば、表現とかそれこそ情熱とかより制限重視なんですよ。
時間もサイズも。この辺はさっきの商業イラストを書く事に似てると思うけど。
藤本 うん、うん。
右近 藤本さんの作品て、それでいうと表現とか情熱で出来てるでしょう。仕事臭がしない。子供の絵同様の純粋さがね。
藤本 やっぱり図画工作が大好きだから、いまでもその気分で描いたり作ったリですよ。
右近 どんどんアイデアがわきでてる感じがしますもんね。
藤本 わきでっぱなし!ちらかしっぱなし!。


(※2)藤本芽子さんのアクリル画作品をお預かりして、トリミングしました。 乱舞する蝶の絵。
イメージを壊さないように慎重に、でも大胆に作業。額装したのは原画の3/1
右近 そう、だから多分、藤本さんてサイズが小さいから楽だとか、大きいからしんどいとかじゃ無くて、、、。
藤本 大きい作品描くの楽しいですよね。
右近 ガルリに持って来ていた巨大な2枚組の螺旋階段の作品もよかった。 結局、展示は出来なかったけど。
でも、あとで、河上さんとあの作品をメインに持っていくような展示ができたら面白いねと話してたんですよ。
藤本 そうなんですか。
右近 僕ね、藤本さんのアクリルの原画見てて思ったんですけど。
藤本 何をです?
右近 映画でも、音楽でも小説でも編集って作業があるでしょう。
藤本 はい。
右近 1時間半の映画だからって1時間半きっちり撮影しなくて、長時間のフィルムを編集でその枠に切りますよね。
藤本 うん、わかりますよ。
右近 だから、A4サイズの仕事でも、藤本さんは自分の湧き出るアイデアを制御せず、制作に没頭して、
もう、 A1でもA0でもそれ以上でも作って。で、最終的にその大きな作品の一部分、、、なん部分でもいいのですけど、
必要な大きさにカットする方が、藤本さんの作品のエネルギーや表現は損なわないんじゃないかと。
藤本 はい。ナイスアドバイスって!
右近 って思って、言ったら。「じゃ、やってやって」って、、、。
藤本 めっ迷惑でした、、、。
右近 ではなくて、そんな軽いノリで返事がかえって来たので。 僕はうれしかった、ってうれしいじゃないですよね。
なんて言うんでしょう、大仕事を任されて光栄でしたけど。
藤本 右近さんが言い出しっぺですから。
右近 、、、。そういう問題じゃ、、、。
藤本 わかってますよお。

藤本 最初なんですけど。
右近  、、、?
藤本 干支展の搬入の時(2004年12月)。こう、腕組みして、、、。
右近 藤本さんの作品が平行に掛からなかったんですよね。何度やっても。
藤本 わたしの後ろで目線を感じるのですよ、黒い服来た人が、なんだか宗方コーチみたいな人が、 髪の毛もあんな感じだったじゃないですか。
宗方ヘア-な人が腕組みして後ろから睨んでるぞと、 早く展示しないと怒られるぞと。で、慌てれば慌てる程ゆがむゆがむ、、、。プレッシャーで。
右近 1時間くらいやってましたよね。
藤本 そんなに?。
右近 もっとかもしれないですよ。
藤本 宗方な視線を感じつつヒエ~となってました。恐いなあって。
右近 詩人のSachi.さんにも言われたな。子犬のような人間ですよぼくは。 でもあの時はは手伝って良いのか悩んでたんですよ。
藤本 なんで、です?。
右近 だって、ほら、作家さんでね、いろいろいるから。
藤本 いろいろ?
右近 いや、出くわした事はないけどですね、なんか、私の作品に手を触れるんじゃないわよ!みたいなね。
藤本 わたしはいいませんよ。
右近 で、結局、SOSなテレパシーを感じとって、それで、ちょっとい~すか~って。
藤本 あの額なんで真直ぐなら無かったんです?。
右近 額を固定するパネルの金具が曲がってて、あと、額につけてた針金も歪んでました。
藤本 何もかも。
右近 はい、何もかも。あのままやってると、確実に、、、。
藤本 干支が変わってました。



藤本 右近さんの絵は、最初は椅子の絵がすごく印象に残ってる。
右近 そうですか。
藤本 わたしが椅子描くと、ぐでぇーてなるんですよ。作者のひととなりが出るなあって思いましたよ。
右近 いやいや。
藤本 ずっと椅子描いてるんですよね。
右近 そおみたいです。ほんとに意識して無いから、だから、何故椅子をモチーフにって聞かれると困るなあ。
藤本 理論武装。
右近  そう。
藤本 作品のモチーフって、ぽって出てくるでしょ。今日の版御飯コロッケ食べたい!って感じで。
右近 何故コロッケが食べたいのかって聞かれても、うまく答えられないもんねぇ。
藤本 最初に言った日常生活の一部だから、晩御飯をきめる脳と描きたいものをきめる脳は一緒のグループなんですよ。
右近 もともと、ふわ~っとした、感情があって、それが徐々に形らしきものになった時に月とか椅子とか屋根とかに なってるって感じかなあ。
で、そのふわ~ッとしたものが何かって言うと分からない。なんせ、ふわ~ッとしてるから。
藤本 ふわ~が、コロッケになったり、絵になったり。言葉で説明するって難しいですよね。
右近 言葉で説明出来ないところが絵になるってのもありますもんね。

藤本 見て頂いた方もふわ~っと。
右近 見た人が気分悪くならないってのが一番大事でしょうね。
藤本 楽しんでもらえる作品作りましょう
右近 そうですよね。
2005-秋。
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